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44田メディア  NEXT Business キーパーソン対談

細川 晋輔 氏(臨済宗「龍雲寺」:副住職)                森 昌寛 氏(臨済宗「松泉寺」:副住職)

44田メディア対談、第12弾は臨済宗「龍雲寺」副住職:細川 晋輔(ほそかわ しんすけ)氏 & 臨済宗「松泉寺」副住職:森 昌寛(もり まさひろ)氏です。

 

■「生きる」ではなく「生き切る!」為の坐禅

「渋谷の朝学」:『朝坐禅』へようこそ! の模様
「渋谷の朝学」:『朝坐禅』へようこそ! の模様

(森=森、細川=細、赤木=赤)
 
赤:本日は、「渋谷の朝学」での人気コンテンツ「『朝坐禅』へようこそ!」の企画者お二人をお招きして44田メディアをお送りします。まず、僕が「渋谷の朝学」にお二人をお招きした理由からお話したいと考えています。約半年前にとあるイベントで臨済宗(日本の禅の宗派の一つで達磨大師を祖とする)のお坊さんの読経を聞く機会がありました。その時の衝撃が今でも忘れられずにいます。  


細:どういった衝撃だったのですか?

赤:何と言うか……、凄まじい声のパワーに圧倒されたのを覚えています。日本という国で平和ボケして生活してしまっている僕に対して、「生きる」という凄まじい修行の中に身を置いている強さというか……、「生きる」ではなく「生き切る!」といった圧倒的な生物学的強さを感じました。今回「渋谷の朝学」を企画するにあたり、是非、参加頂く会社員の方々にもそういった「生き切っている」お坊さんに触れて頂きたいと思い、同じ臨済宗であるお二人に無理やりお願いをしたのです。

 

(左から)「龍雲寺」細川副住職、 「松泉寺」森副住職
(左から)「龍雲寺」細川副住職、 「松泉寺」森副住職

森:我々もまだまだ修行中の身ですから、生物学的に強いと言われると非常に恐縮なのですが、臨済宗にはお坊さんになる前にまず3年間、老師と言われる高僧に弟子入りをして修行をしなければいけないという決まりがあります。その3年間で心身ともに、禅僧としての基礎は鍛えられたとは思っています。

 

 

 

細:老師は僧侶の中でも、悟りをひらかれている方で特別な存在です。何をされるにしても、全て自然のあるがままを受け入れた非常にストイックな生活をされています。そういった老師の元で過ごす毎日は大変勉強になりますし、また非常に厳しく毎日を過ごすことを教えられます。


赤:具体的にどんな毎日を過ごすのですか?

 

「松泉寺」森 昌寛 副住職
「松泉寺」森 昌寛 副住職

森:老師の元には多くの修行僧が弟子入りしていて、それぞれの仕事、例えば食事係、応接係などに振り分けられます。それらの中でも先輩修行僧が指導役で後輩の修行僧の指導を行ないます。例えば、便所掃除の場合、毎日便所掃除をさせられますが、掃除後のチェックで便器を舐めさせられます……
 
赤:うわっ!
 
森:これは「綺麗・汚いを超えた所を見ろ!」という禅的思想の教えを体現するものですが、今までの自分というものを捨てるために、心身ともにプライドと云うものをズタボロにされます。当然指導する側も、指示するからには自らが出来ないといけません。そういった掃除ひとつに対しても真剣勝負で向き合う日々を強要されます。

細:警策(坐禅の時に叩かれる棒のこと)でも毎日バンバン叩かれますし、確かにあの数年間で相当鍛えられた気がします。
 
赤:「『朝坐禅』へようこそ!」では警策は希望した方のみが受けられる様にしていますが、本来は非常に厳しいものなのですね。朝学の授業の中で、坐禅は「調身→調息→調心」というまずは姿勢(身)を調え、次に呼吸(息)を調え、最後に心を調える事が大事だとおっしゃってましたが?
 
森:私は不確定要素の多い社会で闘うビジネスマンの方々にこそ坐禅をして欲しいと思っています。1日の最後に坐禅をしながら今日の自分の行動を反省してみる。そして考えて考えて考える事がなくなって、考えられなくなる。そこまで行ってようやく無心と呼べる状態=「心がニュートラル」な状態に近づくのではないかと思っています。坐禅を通して心を調える癖をつけることで、常に自分自身を俯瞰的に見ることが出来るようになり、ビジネスマンの人達にも非常に有益なツールになり得ると考えています。

「龍雲寺」細川 晋輔 副住職
「龍雲寺」細川 晋輔 副住職

細:あと、坐禅の心得2つ目の「調息」も非常に重要です。人間は生まれた時は吐く息から始め、死ぬ時は小さく息を吸って亡くなると言われています。呼吸 (吐いて吸う)を1セットすることで一歩「死」に近づいている。なので呼吸一つひとつも疎かにしてはいけない! でも日々の生活では呼吸のことなんて意識 していられないですから、坐禅で「調息」を意識することで呼吸ひとつについても意識を集中することを思い出して欲しい。これは先程、森さんの話していた掃除ひとつにも真剣勝負で向き合うという禅的な思想にも繋がって行きます。
 
赤:「『朝坐禅』へようこそ!」などの坐禅会に参加することで、定期的に坐禅をする癖をつけ、「生き切る!」という感覚を研ぎ澄ます。俯瞰的に物事を見る為の心のトレーニングにもなる。ビジネスマンにとって、有益な体験かもしれませんね。


 

■現代における、お寺の存在意義=価値とは何か?

赤:ところで、お坊さんの方々と中々じっくり話す機会がないのでお伺いしたいのですが、お坊さんのお仕事というか社会的役割って何だとお考えですか?
 
森:我々の仕事は「お寺を守ること」だと思います。お寺というのは檀家さんから預っているもので、檀家さんのご先祖様のお墓などもあります。お寺が無くなるということは、代々続いてきた檀家さんのご先祖供養の文化もなくなることになります。

44田寮 寮長:赤木 優理
44田寮 寮長:赤木 優理

赤:お寺って守る必要あるんですかね? お二人を前にして敢えて挑発的な問いを投げかけますが、僕は、かつて価値のあったものでも時代の流れの中で価値を失っていくものは淘汰されて行くべきだと考えています。今の日本には「いにしえから受け継がれて来た文化を守る」という大義名分の上にあぐらをかいて、今の世の中に対して明確な価値を提供できてない存在って結構沢山あると考えています。お寺もその一つなのではないでしょうか?

森:中々に手厳しいですね(笑)。「お茶」や「お華」といった日本古来の文化も「禅」というバックボーンから生まれてきたという経緯があります。日本人の心に何かしら染み付いているというか、懐かしさを感じるという、空間としてのお寺の価値はあるのではないでしょうか? 境内にいけば “ホッ” と出来るみたいな……。

 

 細:かと言って、一般の人からするとお寺に触れる機会がめっきり減ってしまったのも事実です。都会の人は特に……。現代は悩みも多様化していて、悩みを持った人々の中でも同僚や友人には相談しにくい人も沢山おられると思います。一般社会とは異世界の「お寺」という立ち位置だからこそ出来ることがあると思います。

 


細:あと、先ほど老師の話が出ましたが、老師を含む高僧の中には敢えて表舞台にほとんど出て来られない方が非常に沢山おられます。むしろそういった高僧に悩みを抱えた人々が触れられるといいと思います。僧侶という立ち位置は古来から「伝道師」という役割を担ってきたことを踏まえると、我々が表に出てこない高僧の考えや想いを世に伝えていく事も意義のあることなのかもしれないと感じています。

赤:何かお話を聞いていて、「お寺」=ハード、「お坊さん」=ソフトという感覚を持ちました。お寺だけではただの箱で、そのハードがその時代に対してどういう価値を提供出来るかを創造していくのがソフトであるお坊さんの役割なのかもしれません。  また、世の中のニーズが多様化している現代だからこそ、色々な考えを持ったお坊さんがいてもいいと思います。それぞれのお寺の特徴を活かしつつ、その時代に価値を提供することが「お寺を守る」ということに繋がるのかもしれませんね。
 
細:「無用の用」という言葉があります。その時には用をなさないと思われている物にも人智を超えた存在意義があって、それを用がないから切り捨てるという一方的な考え方自体がおこがましい、というものです。ただ、我々がその考えに甘やかされて思考・努力を怠るのではなく、あくまでもお寺が今の世の中に提供できる価値を生み出し続けられるよう考え続けていかなくてはいけませんね。答えを “見つける事” が大事なのではなく、答えを “求め続けていく事” が禅的にも大事と考えられています。そうすることで「生き切る!」という壮絶な修行の日々に身をおけるのだと思います。

 

■44田寮 寮長 編集後記

森副住職、細川副住職、お二人に共通して感じたことを一言で表現すると、「川上に向かう一舟のカヌー」である。 これはお二人が「未来は川上から流れてくる水の様に過去とは関係なくやってくる」という、あるがままを受け入れる禅的時間観と、「しかし目の前の漕ぐ努力無くしては上流に進めない」という、もがく事で未来を切り開くという現代的時間観という2つの相反する時間観の狭間で生きているからなのかもしれない。何か悩み苦しんでいる時は禅宗のお坊さんに相談すると良い。明らかに俗世の輩とは異なる結果をもたらしてくれそうだ……。「急がない急がない、一休み一休み……。」そう言えば、一休さんも臨済宗だった(笑)。

StartUp44田寮 寮長 赤木優理

 

・臨済宗 妙心寺派「龍雲寺」Webサイト 

・「渋谷の朝学」Webサイト

・「『朝坐禅』へようこそ!」


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